理由を聞く暇すら無く浮遊感に包み込まれ、遺跡の外へと投げ出される。
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ぬいぐるみはうーんと伸びをしつつ主に向き直った。
主 は青い髪の少女にもらったメモを見ながら答える。
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そういえば、主は先日の砂の化物 との戦闘で喉を痛めたと言っていた。
その痛みを和らげる為に青い宝石の装飾が必要なのだそうだ。どういう理屈なのかは解らないが。
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外 は人が多い。大きな宿が大量に立ち並んではいるが、空室の保証は出来ないだろう。
ましてや3人分、3部屋確保できるというのはかなりの低確率だ。
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主はメモをしまうと荷物を持って歩き出した。
その後ろ につき従う。ぬいぐるみはぴょんと飛び上がって私の肩に乗った。
結果、運良く3部屋確保できた。
私とぬいぐるみは人数に入らない ということで無料だそうだ。
代わりに主と1つの部屋で寝なければならないが。
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主 はシャツとロングスカートというラフな格好に着替えている。
私の目の前でだ。
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ぬいぐるみが苦笑しながら言う。
風呂も脱衣所もあるのだ から、そちらを使えば良いと私は思うのだが。
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無 言で頭をはたいてやる。いたーいと棒読みでぬいぐるみは鳴いた。
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砂 と宝石と代金を手に主が微笑んだ。
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部屋にて。
どうやって砂から作ったのか解らないが、出来上がった 銀の指輪を見て主が微笑んでいる。
精緻な細工の施された指輪だ。
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これを作ってもらう時、かなりの代金を払ったはずだ。
こ んな高価なものを私に?
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とりあ えず受け取って眺めてみる。
細工だけではなく、ちりりと鳴る飾りまで付いていた。
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銀の輪を左手の中指に通す。それを見届けて満足そうに主は頷い た。
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差 し出されたのは薄い本だった。本というよりは綴じただけの紙だろう。
服のような、下着のようなものがいくつか描かれている。
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この時期に泳ぐ必要があるのだろうか。
多少暖かくはなっ てきたが、まだまだ朝晩は冷える時期だというのに。
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聞き覚えのない 声が響いた。
部屋に私たち以外の人影はない。声の主を探すと主がコンパクトを差し出してきた。
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小さな画面の中で女性が笑ってい る。
ねえさま、ということは主の姉なのだろう。軽く頭を下げた。
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用事は済んだと 言わんばかりにベッドに寝転び世間話に興じ始める。
時々聞こえる笑い声が耳に心地いい。
そうだ、忘れないうちに選んでおこう。
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いつの間にやら覗き込んでいたぬいぐるみが笑う。
頭を 掴んで投げ飛ばすとパフンという軽い音とともに壁にぶつかり床に落ちた。
なるだけ地味で、体を冷やさない構造のものを選んだというのに。
主 以上に、このぬいぐるみは解らない。
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翌朝。さっそく主は服を創り出した。
見るからに寒そうだ がこれから泳いでくるとはしゃいでいたので多分何ともないのだろう。
颯爽と消えていった主を見ていると、聞きなれた声がかかった。
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脈が無い。呼吸も無い。
ただほんのりと温かい身体。
眠る主は、やはり
見られていたとは。
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隅 に置けませんねぇ、と訳のわからない呟きが聞こえた。
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(以下私事な懺悔)
プロフィール、全 文字埋めてしまったorz
二つ名は「二つ名メーカー」から持ってきました。